2013年6月23日

Code for Japan の可能性について語る会に行ってきた

Code for Japan の可能性について語る会に行ってきました。 アメリカでは "Code for America" という取り込みが行われており、その日本版の準備を進めているので、 現状や方向性についてのお話をしましょう、という会です。

会場は GLOCOM さんの一室で、定員を超えるくらいの参加者でいっぱいでした (100人くらい?)。 4年前にも Twitter と政治について語るイベントがありましたが、会場アンケートではその時とは参加者層が違うようでした。 当時も前日の募集で80人以上が集まったそうです。

なお、会の内容は ITPro でも記事になっています。

Code for America

まずは Code for America について。 官公庁などの公共団体と市民が協力して IT 化を進めるプロジェクトといった感じでしょうか。 実際は市民が自治体に働きかけて課題を解決していくことになります。 4種類のプログラム - fellowship, brigade, accelerator, peer network - があり、解決すべき課題によって異なるアプローチをとります。 それぞれの詳細は PROGRAMS のページに説明があります。

fellowship は自治体にソフトウェアエンジニアなどを派遣して実際に仕事に従事する中で課題を理解してもらい、何ができるかを共有すること。 brigade は火消し要員みたいな位置づけで、既存の課題を解決すること。 プロジェクトの火消しということで、会場ではプロジェクトのデスマーチに投入される人員を連想して笑いがこぼれていました。 実際に進めるときは笑えない話も出てくるでしょうから、用語の日本語訳はよく考えた方が良いかもしれません。 その他、accelerator は支援の仕組みを軌道に乗せてさらに推進していくこと、 peer network は単一の自治体だけでなく、それらを支援する人々を広く繋げるようにしていくことだそうです。

Code for America のこれまでの啓蒙活動などは YouTube チャンネル にもアップされています。 きちんと認められること - endorsed - が大事になります。

さて、今回はそれの日本版 Code for Japan の準備室、という位置付けです。 単に同じ仕組みを持ち込むだけではうまくいかないことも多いでしょうから、 どのように進めていくかは非常に難しい話だと言えます。

パーソナルデモクラシーフォーラム

続いて パーソナルデモクラシーフォーラム の参加レポートを共有してもらいました。 市民参加型の政治をテクノロジーがどのようにサポートしていけるか、という事を考えるフォーラムです。 今回で10回目だったらしく、2日間で500人以上の規模で開催されたそうです。 有名なテック企業がスポンサーになっており、多くの著名人も参加しています。 発表者でなくとも会場を訪れていたとのことです。 15分くらいの動画が40本以上も YouTube にアップされているそうなので、時間を作って見ておきたいですね。

詳しくはこちらの記事にまとめて下さってます。 (Social Company の市川さん)

ここ2、3年で特に盛り上がりをみせている civic technology 業界のことが分かるそうです。 civic technology とは、 Gov 2.0, Open Data, Open Government などを包括する業界という感じで使われている言葉のようです。 ネット選挙だけでない、もっと広い意味での市民参加型の政治を目指して、 公共機関におけるテクノロジーという軸で色々と活動しています。

ボランティア依存かと言うと必ずしもそうではなく、寄付や投資も盛んになっているそうです。 eBay の創業者が始めた投資会社 - Omidyar Network - もありますし、 Sunlight Foundation という投資財団もあります。 最近では change.org という署名サイトが $15M くらいの投資を受けたのが大きなニュースとなりました。

今回のイベントの主催者の関さんも資料を用意してくださってます。

civic entrepreneur を取り巻くエコシステムができているという図が冒頭のものになります。 アメリカは何につけてもエコシステムの構築が日本よりはうまくいってるような気がします。 投資家は「ソーシャルインパクト」を重視しているそうで、そういった人達にもリーンスタートアップの考え方が広く普及しているようです。 ツールを提供して OK ではなく、それを評価するサイクルを回し、流通するコミュニティを形成できるかを大きな課題と考えています。

パーソナルデモクラシーフォーラムでは Github の中の人もプレゼンがあったそうです。 ProGit の本を書いた人らしく、何ともすごいなぁと思います。

Code for Japan

そして本題の Code for Japan。

Code for Japan で何をするか? という部分から検討しており、設立メンバーになりたい人を募集している段階です。 意思決定などはオープンに進めますし、オープンな facebook のグループ があります。 現在の準備室のメンバーは8人だそうです。 今後のアクションとして、NPO か一般社団法人での設立を考えているとのこと。

これまでのハッカソンではアイデアは出て何らかの実装にもつながりますが、 それが運用され続けることは少ないのが現状です。PDCA サイクルが回りにくいのです。 そこを何とか解決していけないか、というのが立ち上げの動機です。 実際、パーソナルデモクラシーフォーラムでも、派手な部分にフォーカスするのではなく地道に進めていくのが良いよ、とのアドバイスがあったそうです。

アメリカでは立ち上げのときに yelp, four square などのポリシー担当の人が参加していたそうです。 オンラインだけでなく、実際に会って話をすることが大事で、知ってる人が教える、という場を設ける重要性が訴えかけられました。 ただし、日本では雇用流動性に関する部分がアメリカとは大きく異なりますので、そこが大きな課題です。 1年休職して fellowship に参加できるか? とも言い換えられます。 受け入れ側の体制だったり投資を得られるかなど、多分に政治的な事情が大きく影響してきます。

何にしても、civic technology には課題も多いですが、可能性も大きい分野とも言えます。 7月12日19時に次回イベントを予定しているとのことです。(場所未定)

終わりに

官公庁、地方自治体のデータをオープンにする流れはこれからどんどん加速していくはずです。 日本では「 世界最先端IT国家想像宣言 」が発表されましたし、 G8 では Open Data Charter が合意されました。 Open Data Charter に関しては下記のブログ記事 (英語) でも説明されています。

流れとしてはそうなんですが、誰がそれを作るの? という問題があります。 直接的な利益につながりにくい、先が見えにくい事案も多数あるでしょうし、 そこに投資する体力がない自治体も多いはずです。 新しく IT システムを導入するとなれば大手 SIer に相談して N 億円、、では大変です。 (予算が55億円あっても失敗してしまう特許庁の例がありますので金額の話でもありませんが)

大事なのは、データを提供する側と利用する側が協力して進めていくことだと思います。 こうした課題を Code for Japan という枠組みで解決していけると素晴らしいなと感じました。

ひとまず英語を日本語にするだけでも参入障壁が下がるはずですので、 何かの翻訳を進めてみようかなぁと思います。 Github には whitehouse を含め多くのプロジェクトがアップされていますので、まずはネタ探しから。

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